―本誌ライターの小山内さんによる、コラム「オタク学」。「オタク的な分野×社会学」というテーマのコラム。第31回です。―
富野由悠季さんと言えば、『機動戦士ガンダム』シリーズや『伝説巨人イデオン』など、日本アニメの歴史を変えた作品を幾つも作ってきたアニメ監督だ。
特に『機動戦士ガンダム』から『ターンエーガンダム』までの「ガンダム」シリーズを作り上げた功績は、スタジオジブリの宮崎駿さんに匹敵するかもしれない。アニメ界の「御大」と呼ばれる由縁である。
そんな富野さんは現在アニメ雑誌にコラムを連載しているが、読者から来た「東京都青少年健全育成条例」についての質問について応えているようだ。(TOP画像は「富野監督が都条例について読者の質問に回答してた|やらおん」より引用。アニメージュを撮影した画像。)
■「法律に抵触しない表現を」 長年の仕事歴が生んだ率直な判断?
「権力者というのは、絶えず規制をかけてくるもの。それはマンガやアニメに限った話ではない。」
「今後どうすべきかということで言うと、僕らは法律に抵触しない表現を心がけることしかない。」
都条例改正に対する富野さんのこのコメントに、ネット上のファンは
「思った以上にまともだった」
「まともなこと言い過ぎて反論できん」
と戸惑うような反応をみせた。元来富野さんは時代の流れに逆らったり、支離滅裂な発言をする人物ということで定評があったからだ。
「老人はゴミです」
「僕はセイラさんの体が好きです」
などは、前後の文脈もあるだろうが、富野さんの迷言の一部だ。
今回の都条例に対するコメントは、特に反骨精神を見せずに、クリエイターでありながらも長年その仕事を職業としてきた人物ならではの率直なもの、ととるべきなのかもしれない。
■愛ゆえに「禿」と罵倒するファンたち 待望の最新作はいつ?
なお富野さんは外見的特徴から、ソフトバンクの孫正義社長と同じニックネームで呼ばれることが多々ある。その場合呼ぶ側に悪意があるケースはほとんど無く、むしろ富野さんへの深い愛情や、こびりついて取れない富野作品への執着から来る場合が多い。
下のリンク先のように、ガンダム最新作であるOVAシリーズ『機動戦士ガンダムUC』の監督が富野さんでなかったことに抗議する動画があるほどだ(参考リンク、「総統閣下がOVA「機動戦士ガンダムUC」にお怒りのようです(禿信者故に)−ニコニコ動画」参照)。
富野さんの近作で話題になったものといえば、1987年のTVアニメ『機動戦士Zガンダム』を編集した『劇場版 機動戦士Zガンダム』三部作が有名だ。
だが、20年近く前のTV放送時の映像と、新規に描き起こしたカットを繋ぎ合わせたため、誰がどう見ても絵柄や画質の違いに違和感バリバリの出来になっている。この作品のために富野さんはあの御年で、パソコンによる編集技術をイチから学んだというから、余計に涙を禁じえない。
次に富野さんがガンダムを作る機会があったら、どうか製作環境や人材・資金などに潤沢な条件でありますように。
※画像:(http://yaraon.blog109.fc2.com/blog-entry-735.html)
(小山内)
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(参考リンク)
富野監督が都条例について読者の質問に回答してた|やらおん
「総統閣下がOVA「機動戦士ガンダムUC」にお怒りのようです(禿信者故に)−ニコニコ動画」
小山内 聡(おさない そう)
漫画とアニメとゲームが好きで軍事オタクの文系大学生。趣味はノンフィクションを読むこと。はてなダイアリー『日の丸海賊団』で書評を書いています。
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